それがユタ州プロボに新設された医科大学、ノーダ整骨医科大学(Noorda-COM)が目指したものでした。Noorda-COMの学生は講義を受ける代わりに、「ラーニングポッド」と名付けられた少人数グループでミーティングを行い、教授が厳選したコンテンツについて検討するのです。
「ラーニングポッド」は3~8人の学生で構成され、各グループの裁量でミーティングスケジュールを組み、自分たちのペースでカリキュラムを進めるのです。同校では、初のクラスとして2021年8月に90名の学生を迎えます。
ウォルターズ・クルワー社のヘルス・ラーニング・リサーチ・プラクティス事業部メディシン部門バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるVikram Savkarが、ノーダ整骨医科大学学務副部長のJennifer Brown氏と、Noorda-COMの医学部における革新的アプローチについて対談しました。
対談から得られた重要なインサイト
1. 近年の学生の学習における好みは多様化している
「学生は今までにない形でテクノロジーの進歩の恩恵を受けており、それが学生の学習や行動に変化をもたらしています」と、Brown氏は語ります。講義が記録されるようになったことで、学生は対面の講義に出るよりも、自分のペースで好きなように停止、巻き戻し、早送りをして素材を消化できる授業の方をよく聴くようになりました。Brown氏は「Noorda-COMは、教授が講義用にコンテンツをどのように作成したかと、学生が実際にどう利用したかのギャップを橋渡しすることを目指しています」とも述べています。こうしてNoorda-COMはカリキュラムの大半をデジタル化したのです。
「教授にオンライン視聴用にコンテンツを記録し、作成していただくことのメリットは、様々な手段を利用し、生の講義ではできない方法でそれらを結び付けることができる点です」と、Brown氏は指摘しています。デジタルコンテンツには、教員が記録した動画やグリーンバックを背景に作成したアニメーション動画から、音声付きのスライドプレゼンテーション、素材を明瞭に伝える外部ソースからの厳選されたコンテンツまであります。「私たちは様々な症例や患者を取り入れ動画と融合させながら、どのような学習目的やトピックであっても学生の興味を引く最善の方法について考えています」と、Brown氏は説明しました。
2. 医学部のカリキュラムにデータに基づくアプローチを導入する
Noorda-COMは医学部教育としてまったく新しいアプローチを採用するとともに、データに基づくフィードバックを導入しました。「学生には、1日の授業終了時に毎回テストを行い、学習の到達度や、どのくらいサポートや補習が必要かを確認します」とBrown氏は述べています。各学生には、得意なトピックおよび改善が必要なトピックが一覧できるダッシュボードが提供されます。
Noorda-COMはまた、このデータを利用して、学生の理解度および成績に基づき、コンテンツの質や改善がどの程度必要かを教員にも知らせます。そこで教員は、データに基づいて質の低かったトピックや学生がサポートを必要としているトピックについて、隔週で生の講義を行います。このようなセッションは、成績の良くない学生や、中・上位の学生のためのオプションとして必要です。このフィードバックサイクルにより、Noorda-COMは学年を通して持続的に教育の質を改善していくことができるのです。
「私たちは、落ちこぼれの学生を出さないことを重視しつつ、医学教育を合理化しようと取り組んでいます。医学生のメンタルヘルスについては、かねてから関心が高まっています。私たちは、まさにデータに基づく方法で学生と教員をサポートすることで、学生がより効率的に時間と労力を使えるようになってくれれば、と願っています」と、Brown氏は締めくくりました。
詳しくは、ウェビナー(録画)『Building a Digital-Focused Curriculum: Insights from an Osteopathic Medical School』をご覧ください。