ヘルス01 1月, 2025

情報は最良の薬:臨床・医薬品意思決定ソリューションの連携

医療従事者がペイシェント・ジャーニー全体にわたって質の高い医療を実践するには、信頼できる最新の臨床・医薬品情報をシームレスに利用できることが重要です。ITチームは、自動的に更新され、電子カルテ (EHR) システムに簡単に組み込めるエビデンスに基づいた情報ソリューションを導入することで、これを支援できます。統合情報リソースソリューションの導入は、正当な根拠のない診療のばらつきを減らし、一般的な医療機関で(収益10億ドルあたり)2,000万~3,000万ドルの節約につながるだけでなく1、医療チームのメンバーの連携と効率向上にも役立ちます。

患者アウトカムの改善には、患者の来院から初期診察、診断、治療計画から退院後までのケアの継続性全体にわたって、効果的・効率的な 意思決定が求められます。医療チームのメンバーは、最善の医療の提供には情報が不可欠だとわかっています。医師、診療看護師、看護師、 薬剤師はお互いだけでなく、診療に関する意思決定の礎となる情報を信頼することが必要です。異なる業者の異なるプラットフォームで複数の 異なるリソースを使用すると、適切な情報を入手するのに時間がかかり、医療チームのメンバーが別々の情報源に基づいて行動する可能性が 高まります。その結果、情報のギャップが生じ、医療チーム内のミスコミュニケーションは避けられず、医療の質や患者・医療従事者の満足度が 低下します。

医療従事者や患者が、信頼性の高い連携した包括的な情報リソース-簡単にアクセスでき、適切な意思決定をタイミングよく支援する情報 リソースを利用できるようになれば、アウトカムの不良は回避できます。そのような情報ソリューションは共通の技術を柱とし、EHRシステムに 組み込めて、次のような臨床的・運営的・組織的メリットをもたらす製品が理想的です。

  • 臨床チーム全体で診療に関する意思決定が統一され、実践的で正確な情報をすぐに検索・入手して患者と話し合える
  • 医療チームのワークフローが合理化され、ケアの継続性全体にわたって意思決定に必要な情報が得られるため臨床活動の効率が上がる
  • 一貫性のある調和した情報をすばやく入手できるため、患者や医療従事者の体験や満足度が向上する
  • 異なるプラットフォーム上に構築された複数のソリューションを入手、統合、維持する必要がなくなり、テクノロジーの 所有コストが減る
  • UpToDate®Medi-Span®UpToDate® Lexidrug™など、簡単に統合できる高度な情報ソリューションにより、 ITが少ない介入で組織能力を構築できる
  • 統合されていない情報源が原因で生じる医療チーム内のコミュニケーション断絶がなくなる

ここでご紹介するシナリオは、一体化した臨床・医薬品情報リソースをケアの継続性全体にわたって利用するメリットを示しています。 UpToDate、UpToDate Lexidrug、Medi-Span、UpToDate® Member Engagementで構成されるWolters Kluwerの臨床有用性製品は、 互いに補完し合うソリューションで一貫した共通の情報を提供し、ケアの継続性の各段階を支援します。このようなソリューションの選択・ 導入により、ITリーダーは医療従事者の意思決定の統一とワークフローの改善をサポートでき、これによって医療従事者の満足度向上と患者アウトカムの改善が実現します。

「私たちは医師として、患者がどこに住んでいようと、自身の健康を誰に委ねようと、常に最善の医療を受けるべきだと考えています。しかし、正当な根拠のない医療のばらつきは、どんな患者にも、意思決定のあらゆる時点で起こり得ます。このような理由から、現在は、専門知識を網羅した信頼性の高い臨床意思決定支援がかつてないほど必要とされています。」
テッド・ポスト医師、編集長、Wolters Kluwer, Health, Clinical Effectiveness

質の高い医療には、医療従事者や患者が簡単に利用できる 信頼性の高い臨床コンテンツが必要

医師、薬剤師、患者は、それぞれ異なってはいても関連する臨床・医薬品情報を求めています。このようなニーズや観点は、お互いが補完し合う包括的なソリューションで満たされます。

  • 医師は 最新臨床情報をすぐに入手する必要があります。標準治療法やプロトコールは、常に変化しています。UpToDateでは、医療従事者が 最新の診察・診断情報だけでなく、成人や小児の用量設定、静注配合変化、腎機能に応じた用量調節に関するデータを取得でき、十分な 情報を得た上で診断や治療に関する意思決定を行えます。UpToDate Lexidrugは、有害事象、患者にアレルギーがある場合の代替薬、 考慮・回避すべき使用法に関する補完的な情報を提供します。
  • 薬剤師は 、詳細な 最新医薬品情報を 簡単に 入手する 必要があります。また、医薬品データをすばやく確認し、まとめなければなりません。 Medi-Spanは、薬効群や価格情報など、医薬品の総合的な説明を提供します。薬剤師は、患者に関する複雑な問題の解決策をUpToDate Lexidrugで検索できます。他の薬理学リファレンスとは異なり、UpToDate Lexidrugの詳細な情報は医師がUpToDateで見る情報を補完するので、時間の節約や混乱の抑制だけでなく、危険な投薬過誤を回避できる可能性もあります。Medi-SpanとUpToDate Lexidrugの併用は、医療従事者や患者が必要とする広範な情報ニーズを満たしながら、医療チームに薬剤師を深く関与させることができます。
  • 患者には異なるニーズがあるため、必要な情報も異なります。具合の悪い患者に対して、医師と薬剤師は症状や治療に関する意思決定や 薬物療法に関する情報をもっと交換せねばなりません。特に複雑な合併症があり、多くの医療従事者が関与し、相互作用の可能性がある医薬品を使用している場合はなおさらです。症状がほとんどなかったり、管理しやすい症状の患者でも、医師、看護師、薬剤師の 連携から大きなメリットを受けます。UpToDate臨床情報、Medi-Span医薬品情報、UpToDate Lexidrug医薬品リファレンスデータの使用により、患者は必要とする情報を確実に得られます。UpToDate Lexidrugの患者教育リーフレットは、薬剤師が日常的に使用している情報源を元に作成されています。Emmiの患者教育リソースの情報は、診断や治療をわかりやすい言葉で説明しています。

情報リソースを統合すると、意思決定やワークフローが改善され、医療従事者や患者の体験が向上するなど、ケアの継続性に関わる全員に メリットがもたらされます。UpToDate、Medi-Span、UpToDate Lexidrugなど、お互いを補完するソリューションの情報は、必要なIT作業をしなくても自動的に更新されます。これにより、正確で信頼性が高く、一貫した情報を効率よく入手できるようになります。

連携した簡潔な情報: よくある臨床シナリオの解決法

医学や臨床ガイドは目まぐるしく変化するため、医学部を卒業したばかりでも、経験豊かな医療従事者でも、質の高い治療計画を作成・実践 するためには外部のリソースの確認が必要です。UpToDate、Medi-Span、UpToDate Lexidrugの組み合わせなど、お互いに補完し合う包括的な 臨床・医薬品情報リソースは、医療従事者が最新情報をすばやく入手するのに役立ち、診療に関する最良の意思決定や患者アウトカムの裏付けとなり ます。Emmiソリューションの患者向け情報は継続的に更新され、医療チームと患者との連携を強化します。

シナリオ1:授乳中の母親

初めて母親になったII型糖尿病の患者が、帝王切開後に産後検診で来院しました。患者は糖尿病薬の他に、産後疼痛を抑えるために、コデインを 含むアセトアミノフェンを服用していました。患者の赤ちゃんは日中、いつもより長い時間寝ていました。これは薬が原因なのでしょうか? 薬はそれぞれ、そして併用して安全なのでしょうか?患者はこれをインターネットで検索し、うろたえてしまいました。患者はどうしたらよいので しょうか?

患者の担当医は、UpToDate Lexidrugの授乳のセクションで、授乳中の母親の薬物安全性に関する研究の詳しいレビューを見つけました。 さらに、妊娠中・授乳中の薬に関するGerald G. Briggsの権威ある文献にUpToDate Lexidrugからアクセスした担当医は、服薬を調整し、 患者の質問にも答えることができました。

UpToDate Lexidrugや電子カルテからBriggsのコンテンツへ簡単にアクセスできるため、医師は専門書やBriggsのオンラインリソースを別途購入する必要がありません。これによって医師は時間を節約でき、最善のリソースを利用して、初めて母親になった患者や乳児の診療にあたれるのです。

シナリオ2:代替薬

単極性大うつ病の患者が、植物由来の代替市販薬であるセントジョーンズワートがうつの症状を緩和する可能性があると聞きました。患者は プライマリケア医の診察中、選択的セロトニン再取り込み阻害薬である抗うつ薬のシタロプラムに加えて、セントジョーンズワートを服用して もよいかどうかを質問しました。

医師はUpToDateでセントジョーンズワートに関する情報を読み、うつの治療にいくらかの効果があることを知りました。UpToDate Lexidrugでの検索を促されて調べたところ、セントジョーンズワートとシタロプラムを併用してはならないことがわかりました。この組み合わせは、セロトニン症候群を引き起こして生命を脅かす危険性があります。医師は、この相互作用と副作用の情報を患者に伝えました。患者は、代替薬を飲む前に 医師に相談してよかったと安心しました。

UpToDate Lexidrugの広範に及ぶ天然物のデータベースは、内容に偏りがなく、参考文献付きのレビューが収載されています。これには 由来、化学、薬理学、使用法、乱用、毒性情報が含まれるため、適切な意思決定を下すのに役立ちます。

シナリオ3:副作用と薬物有害事象

がんと診断された患者が、骨痛を訴えて来院しました。患者は複数の 薬物治療を受けていましたが、その多くは初めて処方されたものでした。 初期評価では骨への転移はなく、他の原因も見つかりませんでした。

医師は、UpToDate Lexidrugでのみ利用可能なAdverse Drug Reportを確認して、骨痛を引き起こす薬のリストをすぐに作成しました。 そして、顆粒球コロニー刺激因子であるペグフィルグラスチムが痛みの原因ではないかと結論づけました。その後、UpToDateで検索し、ペグフィルグラスチムを原因とする骨痛の管理に関する情報を見つけました。

シナリオ4:薬物相互作用

非オピオイド薬に不応の慢性痛を抱える女性患者が来院しました。担当のプライマリケア医は、患者の症状をオピオイドで管理していました。 この患者に誤用のレッドフラッグ(危険信号)はみとめられませんでしたが、定期検診で薬物スクリーニングを行ったところ、アンフェタミンに 陽性反応を示しました。

医師は、患者が前回の薬物スクリーニングの後、ブプロピオンの服用を開始したことについて患者と話し合いました。検査で陽性反応が出た 理由は、ブプロピオンかもしれないからです。UpToDate Lexidrugでモノグラフを調べたところ、ブプロピオンがアンフェタミンに偽陽性の結果を 示すことが確認されました。これは、他の多くの医薬品リソースには掲載されていない極めて重要な情報です。

シナリオ5:適応外使用

うつの治療にシタロプラムを服用し始めた患者が、深刻な性欲減退を訴えて来院しました。医師は、性欲減退は副作用によるものかもしれないと考えました。 患者は、繰り返し発生する重度の緊張性頭痛も訴えていました。

医師は、UpToDate Lexidrugに掲載されるシタロプラムのモノグラフで、 抗うつ薬の有害作用を比較する詳細な表を見つけ、ミルタザピンが性的副作用を 引き起こさないことを突き止めました。また、ミルタザピンが偏頭痛の予防に適 応外使用されることも記載されており、それを裏付ける専門的なガイドライン へのリンクもありました。この情報により、性的副作用を引き起こさずにうつを 治療する代替薬をすぐに見つけることができました。

ITリーダーは包括的でシンプルな臨床意思決定支援を 実践するパートナー

情報が溢れている医療業界で、ITチームは医療チームのメンバーが必要な情報を入手・利用する際に重要な役割を担っています。統合する 情報リソースや意思決定支援リソースの選択は、臨床的にも財務的にも影響をもたらします。最良の意思決定は、信頼性が高い包括的な臨床・医薬品情報に基づいて行われます。Wolters Kluwerの臨床有用性製品は、医師、診療看護師、看護師、薬剤師に、信頼できる共通の情報源から 最新の臨床・医薬品情報をすばやく提供します。特に現在、医療業界の離職率と人材不足が問題となる中、使いやすく効果的・効率的なテクノロジーソリューションはこれまでにないほど重要性を増しています。信頼性が高く連携した情報は、最良の薬です。ITチームは、診断から 治療、回復に至るまでのペイシェント・ジャーニーを、あらゆる段階で確実に支援できるのです。

本稿は弊社編集チームに所属する以下の専門家の協力を得て作成されています。Sandy Falk, MD, Director, Editorial Relations; Steven P. Hart, MD, Director of Content, Clinical Informatics; Ted Post, MD, Editor-in-Chief, Clinical Effectiveness; Steve Stout, PharmD, MS, Director, Clinical Content; Elizabeth A. Tomsik, PharmD, BCPS, Senior Director; Reference Drug Content; David M. Weinstein, RPh, PhD, Senior Director, Clinical Content; Jennifer Mitty, MD, Deputy Editor, Infectious Diseases.

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UpToDate Lexidrug
  1. Unwarranted Variations in Care: Origins and Approaches to Reduction, Advisory Board, May 2017
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