医薬品情報ソリューションを選択する前に 業者に質問する必須チェックポイント
医薬品リファレンスソリューションは、投薬過誤を減らし、患者の安全性を高め、効率を上げるために医療機関のワークフローに欠かせない要素です。しかし、医療従事者が実際に使いたいと思うソリューションでなければ、効果はありません。
医療機関に最適な医薬品リファレンスソリューションを選択するにはどうすればよいのでしょう?ケアチームが信頼できる実践的で重要な臨床情報を入手できるだけでなく、使いやすく、処方者や薬剤師、看護師のワークフローやルーティンに適したソリューションを判断するコツは?
この冊子では、医薬品リファレンスソリューションが医療機関やケアチームに適切なのかどうかを見極めるために考慮すべきポイントをご紹介します。
1. 執筆や編集を担当しているのは誰か?
どんな医療従事者も、薬物療法のあらゆる分野に精通することは不可能です。適切で安全な治療を探し求めて医薬品リファレンスソリューションに頼る時、医療従事者に必要なのは、内容を作成しているのが部門をまたいだ学際的なチームで、そのすべてが高度な訓練を受け、広範な臨床経験を積み、サブスペシャリティの専門知識があるという確信です。
主なチェックポイント
- 内容作成には医療従事者が何人参加しているか?社外にレビューアのネットワークはあるか?
- トピックの執筆者はその領域の専門家か?
- どんな専門領域を取り扱っているか?
- 内容作成チームは、病院の薬局など、定期的に実際の臨床業務にあたっているか?
- 医薬品リファレンスソリューションの執筆者は、社内の他製品を担当する専門家、例えば臨床意思決定支援ソリューションの執筆者など連携しているか?
2. 医薬品リファレンスソリューションの内容はどれくらいの頻度で更新されているか?
医薬品に関する意思決定は、最新のエビデンスに基づいて行うべきです。薬剤師をはじめとする医療従事者は、自分たちの意思決定に必要な情報を入手するリソースに最新の医学文献がまとめられ、エビデンスに基づいた実践的な内容に最新のケア標準が反映されていると確信できることが重要です。また、最新の診療ガイドラインや業界動向を盛り込むべく、ソリューションが継続的に更新されていることも必須です。
主なチェックポイント
- 内容をどれくらいの頻度で更新しているか?
- ソリューションの内容はすべて同じスケジュールで更新されているか?
- 内容の更新プロセスは?
- 重要な更新はすぐに反映されるか?
- 診療に影響する極めて重要な情報、警告、在庫不足はどのように伝えられるのか?
3. ソリューションでは、エビデンスに基づいた最新慣行を反映した実践的な投与推奨を得られるか?それとも、主に製薬会社の医薬品表示を元にした内容か?
ポイントオブケアで臨床上の意思決定を行う時、薬剤師に必要なのはエビデンスに基づいたタイムリーな医薬品情報です。残念なことに、情報がすぐに古くなってしまう医薬品表示の情報を主とする医薬品リファレンスもあります。業界動向や主要文献を日々確認して内容を継続的に更新している医薬品リファレンスは、エビデンスに基づいた最新慣行と連携するリソース、そして臨床ケアと調和の取れたリソースとして活用できます。
主なチェックポイント
- 更新の際はどんな情報源を確認しているか?
- メーカーとガイドラインの投与指示が異なる場合のガイダンスは収載されているか?
- 中核的な医薬品情報だけでなく、他のリファレンスにはない領域の専門知識が得られるか?そのような領域の内容の作成に積極的か?
- 薬物療法に影響する複雑な症状の患者の治療や管理に役立つリソースや内容はあるか?
- 推奨投与を中心とした臨床情報はあるか?
- 編集部は、動向を観察し、フロントラインのケアチームを対象とした勧告や主な推奨にすぐに対応しているか?
- ユーザーの意見を受け入れ、採り入れているか?
4. 医薬品リファレンスソリューションは、他の臨床意思決定支援(CDS)ソリューションと連携しているか?
複数の業者が提供するリソースを使用すると、医療機関全体でミスコミュニケーションのリスクが高まります。これが原因でケアに差が生まれ、薬剤師とその他の臨床チームの間に誤解が生じることになりかねません。エビデンスに基づいた最新の疾患情報を反映する医薬品リファレンスがあれば、ケアチームは共通のリソースに従えるので、時間の節約になり、患者に提供するケアを統一できます。
主なチェックポイント
- 医薬品リファレンスソリューションは、臨床意思決定支援ソリューションとどれくらいの期間連携しているか?
- 2つのソリューションの内容作成チームは、協力して内容の調和を図っているか?連携の結果、可能になったことは?
- 医薬品ソリューションと臨床意思決定支援の連携により、薬剤師が医薬品リファレンス情報だけでなく、最新の診断・治療慣行を反映したエビデンスベースの臨床知見を利用できるようになっているか?
- ソリューションには、臨床でよくみられる病状についての重要な内容が含まれているか?
- リソースは患者教育ソリューションと連携しているか?
5. 医薬品リファレンスソリューションは使いやすく、幅広い医療従事者を対象としているか?
医薬品リファレンスソリューションを使うのは薬局だけではありません。特によく使用するのは看護師で、投与、在庫、準備などに関する情報を必要としています。処方者も、治療選択肢に関する詳しい研究を求めて医薬品リファレンスを調べます。ここで欠かせないのは、ケアチーム全体がポイントオブケアで求めている答えを簡単に入手できることです。異なるモバイルアプリケーションを行き来したり、オンライン医薬品リファレンスと臨床意思決定支援リソースを複数回のクリックで切り替えたりしなければならないと、ケアチームの時間を非効率的に使うことになります。
主なチェックポイント
- 医薬品リファレンスのワークフローから、関連する疾患情報などの臨床意思決定支援ソリューションにアクセスするのは簡単か?
- モバイルソリューションでは、オンラインと同じ詳細内容をすべて見ることができるか?
- 1つのモバイルアプリですべての情報にアクセスできるか?それとも複数のアプリが必要か?
- 医薬品リファレンスは、看護師など、薬局以外の医療従事者のニーズを満たしているか?
- フロントラインで働く医療従事者は、ポイントオブケアですぐに問題を解決できるか?それとも、研究に関心があるユーザーを主な対象とし、薬理学の詳細情報が中心か?
- 医薬品リファレンスは電子カルテに組み込めるか?
- 薬剤師が代替療法や補助療法を検討できるように、医薬品を比較できるか?
6. 医薬品リファレンスソリューションがフォーミュラリーと連携し、医薬品を効果的に選択できるようになっているか?
リソースを効果的に使用すれば、医療機関の総医療費を最低限に抑えられるだけでなく、患者が適正な費用でケアを受け、QOLを上げることができます。カスタマイズ可能なフォーミュラリーが医薬品リファレンスに統合され、医師や薬剤師をはじめとするケアチームのメンバーが簡単に利用できれば、コスト効率が高く臨床的に有益な薬物療法と患者アウトカムの向上に全員が集中できます。
主なチェックポイント
- ソリューションには医療機関のフォーミュラリーや医薬品に関する方針を組み込めるか?
- 医薬品リファレンス内にカスタマイズした内容を組み込めるか?
- 臨床チームは、臨床上の意思決定の過程で、処方者が電子カルテに投薬指示を出す前に、フォーミュラリー情報にアクセスできるか?
- フォーミュラリーはオンラインとモバイルでの検索結果の両方に表示されるか?
- フォーミュラリーの内容を、臨床意思決定支援などの他のリソースと統合できるか?